こども誰でも通園制度の料金とデメリット|2026年4月スタートの全貌

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2026年4月、保護者の就労状況を問わず0歳6か月から2歳の子どもが保育施設を利用できる「こども誰でも通園制度」が全国で本格的にスタートしました。正式名称は「乳児等通園支援事業」といい、子ども・子育て支援法に基づく新たな給付制度として、全国すべての市区町村での実施が義務づけられています。

新制度への関心は高い一方、「実際の利用料はいくらか」「月10時間という上限で足りるのか」「保育士不足の中で本当に受け入れてもらえるのか」といった疑問を持つ保護者の方も多くいます。本記事では、こども家庭庁の公式資料や政府広報オンラインなど一次情報をもとに、制度の基本構造・料金・デメリット・現場の課題を客観的に整理します。

制度を正しく理解しておくと、いざ利用を検討するときに迷わずに動けます。ぜひ最後まで読んで、制度の全体像を把握してみてください。

こども誰でも通園制度とは何か|2026年4月から変わる仕組み

こども誰でも通園制度は、「こども未来戦略」に基づいて創設された新たな通園給付です。こども家庭庁の公式ページを直接確認したところ、「全てのこどもの育ちを応援し、こどもの良質な成育環境を整備するとともに、全ての子育て家庭に対して、多様な働き方やライフスタイルにかかわらない形での支援を強化するため」に設けられた制度と明記されています。2025年度に制度化され、2026年度から全国の自治体で本格実施されています。

制度が創られた背景

制度創設の背景には、0〜2歳児の約6割が未就園児であるという現実があります。保育所に通うには、これまで保護者の就労や保育の必要性を証明する書類が求められていました。そのため、専業主婦(夫)家庭や育児休業中の家庭は、たとえ子どもに社会的な刺激を与えたくても、施設を定期的に利用できない状況が続いていました。

核家族化が進み、地域のつながりが希薄になる中で、育児を一人で抱え込む保護者の孤立や不安が社会問題として指摘されてきました。こども家庭庁が根拠とした「はじめの100か月の育ちビジョン」では、乳幼児期が生涯にわたるウェルビーイングの基盤となる重要な時期であると明確に位置づけられています。0〜2歳の低年齢層は児童虐待による死亡事例が多い年齢帯でもあることから、早期介入の意味でも制度の必要性が強調されました。

一時預かりとの決定的な違い

一時預かり事業と混同されることがありますが、両制度には目的の面で大きな差があります。一時預かりは「保護者の一時的な事情に対応するため」の仕組みであるのに対し、こども誰でも通園制度は「子どもの育ちそのものを支援するため」の給付制度です。制度の主役が保護者ではなく子ども自身に置かれている点が根本的に異なります。

また、一時預かりは全自治体での実施が義務づけられていませんでしたが(2023年時点で全自治体の約74%が実施)、こども誰でも通園制度は全国1,718すべての市区町村で実施が求められます。権利性という観点でも、今回の制度は「給付」として位置づけられており、より強固な法的根拠を持ちます。

対象となる子どもと利用条件

対象は、利用日時点で生後6か月から満3歳未満の未就園児です。3歳になる前々日まで利用できます。保護者が就労しているかどうか、どのような理由で利用するかは問われません。なお、企業主導型事業所以外の認可外保育施設に通っている場合も利用できるなど、幅広い条件が設けられています。

【制度の基本情報まとめ】
対象:生後6か月〜満3歳未満の未就園児
利用時間:月10時間を上限(1時間単位)
実施根拠:子ども・子育て支援法に基づく新たな給付
就労要件:不問(専業主婦・育休中でも利用可)

利用できる施設の種類

制度を利用できる施設は、保育所・認定こども園・小規模保育事業所・家庭的保育事業所・幼稚園・地域子育て支援拠点・企業主導型保育事業所・認可外保育施設・児童発達支援センターなどが想定されています。ただし、各施設が制度への参加を判断するため、地域によって実施施設の数や種類は異なります。利用を希望する場合は、居住する市区町村または「こども誰でも通園制度総合支援システム(つうえんポータル)」で事前に確認するとよいでしょう。

  • 保育所・認定こども園・小規模保育事業所などが主な実施施設となります。
  • 施設ごとに実施方式(一般型・余裕活用型)が異なり、受け入れ定員も変わります。
  • つうえんポータル(https://www.daretsu.cfa.go.jp/)で空き状況の確認と予約ができます。
  • 施設との初回面談が必要で、面談した施設のみ利用できます。
  • 複数施設の利用可否は自治体によって異なります。

こども誰でも通園制度の料金と減免制度

料金については複数の自治体ページと日本経済新聞の報道(2025年12月19日付)を確認したうえで整理しました。こども家庭庁が定める「標準額」と自治体ごとの設定の両方を把握しておくと、実際の費用を見積もりやすくなります。

基本となる利用料の水準

利用者が施設に支払う利用料は、1時間あたり300円が標準とされています。これはこども家庭庁が示した標準額であり、施設が任意に設定することも認められています。施設によっては食費や給食費・おやつ代が別途かかる場合があり、糸魚川市の案内では給食費1食300円、おやつ代1回50〜100円という例が示されています。月10時間フルに利用した場合の利用料は3,000円(標準額)となりますが、別途かかる実費は施設によって異なります。

なお、現行の一時預かりと同水準の料金設定が基本方針とされており、従来から一時保育を利用していた家庭にとっては、大きな金額変化は生じないと考えられます。ただし制度開始直後であるため、最新の利用料は各自治体や利用予定の施設に直接確認するとより確実です。

所得に応じた利用料の減免制度

通園制度の料金比較と注意点の図

世帯の状況に応じた減免制度があります。job-medleyの整理とジョブメドレーが引用する公的資料によれば、生活保護世帯は無料(減免額300円)、住民税非課税世帯は1時間60円、市区町村民税額が77,101円未満の世帯は1時間90円、要支援世帯は1時間150円となっています。なお、減免の有無や額は自治体ごとに異なる場合があるため、実際の適用については居住市区町村の窓口で確認してください。

世帯区分1時間あたり利用料(目安)
一般世帯300円(標準額)
市区町村民税額77,101円未満の世帯90円
要支援世帯150円
住民税非課税世帯60円
生活保護世帯0円(全額免除)

月10時間上限の実際の使い方

月10時間という上限は、週に2〜3回、1〜2時間ずつ利用するイメージです。こども家庭庁の手引きによれば、施設利用の形態は「定期利用」(曜日や時間を固定して利用)と「柔軟利用」(利用する事業所・月・曜日・時間を固定しない形式)の2種類があります。どちらの方式を採用するかは各自治体と事業者の判断によって異なります。

神戸市が実施したモデル事業の報告書では、利用可能時間の上限10時間を使い切っていない利用者が6〜7割存在するというデータが示されています。「月10時間では少なすぎる」という声がある一方、実際には全時間を消化しないケースも多いことが分かります。利用時間が余った場合は繰り越しができないため、無理のない使い方を計画しておくとよいでしょう。

【料金の確認手順】
①つうえんポータル(daretsu.cfa.go.jp)で近隣施設を検索する
②市区町村の担当窓口で利用認定の申請方法を確認する
③希望施設に初回面談を申し込み、料金・実費の詳細を直接確認する
  • 標準利用料は1時間あたり300円ですが、施設が独自に設定することも認められています。
  • 食費・おやつ代などの実費は施設ごとに異なります。
  • 月10時間を超えた利用は一時預かり事業の対象となります。
  • 減免制度の適用条件は自治体ごとに異なるため、窓口確認が必要です。
  • 未使用時間の翌月繰り越しはできません。

こども誰でも通園制度のデメリットと注意点

こども家庭庁の公式資料・モデル事業調査報告書・複数の自治体ページを横断して確認したところ、制度には利用者・子ども・現場それぞれの視点から見たデメリットや課題が整理されています。ここではその主なものを客観的に示します。

月10時間という利用上限の制約

最も多く指摘されるデメリットが、月10時間という上限です。就職活動中の保護者や、定期的な通院が必要な保護者からは「時間が足りない」という声が聞かれます。hoiku-is.jpの整理でも、「就職活動中の保護者や通院が必要な保護者など、もう少し長い時間の利用を求めている方もいる」と指摘されています。

また、上限を超えた時間については一時預かりを利用することになりますが、一時預かりは自治体や施設の空き状況に依存するため、確実に利用できるとは限りません。制度を補完する手段として一時預かりを組み合わせることは可能ですが、一体的に計画しにくい点は課題です。

子どもが環境に慣れにくい問題

月に数回・数時間という利用頻度では、子どもが園の環境や保育者に慣れるまでに時間がかかることがあります。hoiku-is.jpが整理した課題の中にも「次の利用日まで日数が空いてしまうと、子どもの発達過程が見えず、適切な保育が困難になることも考えられる」とあります。

特に乳幼児期の子どもにとって、環境の変化は心理的なストレスになり得ます。保護者の中には、子どもが毎回泣いてしまうなど、利用開始直後に精神的な負担を感じるケースもあります。継続して同じ施設を利用することが、子どもの安定につながりやすいとされています。

希望どおりに利用できないリスク

制度の周知調査(PR TIMES、2026年3月)では、保護者の不安として「預け先の空き状況が心配」「どの施設で実施しているか分からない」という声が挙がっています。朝日新聞(2026年3月27日付)の報道では、「4月スタートでも受け入れ施設のない自治体も」と報じられており、全国一律に整備されているわけではない現実があります。

また、実施施設が参加するかどうかは施設の判断に委ねられているため、居住地域によっては選択肢が限られる場合があります。2025年12月時点では231自治体が参加施設を持っていたとのデータ(カナロコ、2026年4月1日付)がありますが、2027年度までは施設確保が困難な自治体向けの経過措置が設けられています。

【利用前に確認しておきたい点】
・居住自治体に実施施設が存在するか
・希望する施設が制度に参加しているか
・定期利用・柔軟利用のどちらが使えるか
・初回面談から利用開始までの期間(自治体によって異なる)
  • 月10時間を超えた分は別途一時預かりを検討する必要があります。
  • 子どもが環境に慣れるまで時間がかかる場合があります。
  • 受け入れ施設が地域によって偏りがある場合があります。
  • 複数施設の同時利用は自治体によって制限されることがあります。
  • 利用開始前に初回面談が必要で、すぐに預けられるわけではありません。

現場の課題|保育士不足と施設側のデメリット

利用者側の問題だけでなく、制度を運営する施設・保育者側にも複数の課題があります。こども家庭庁が実施したモデル事業調査(2024年度)の結果を確認したところ、現場の声として具体的な数字が示されています。

保育者の確保が最大の課題

モデル事業に参加した自治体のうち、81.6%が「保育者の確保」を課題として挙げています(codmonコラムによる整理)。こども誰でも通園制度の一般型では、保育従事者のうち保育士の割合が半数以上であることが求められます。現在でも保育士不足が深刻な地域では、この要件を満たすことが難しく、制度への参加を見送る施設も出ています。

人員配置の基準は、0歳児3人につき保育従事者1人以上、1〜2歳児6人につき保育従事者1人以上とされています。在園児の保育に加えて誰でも通園制度の利用者を受け入れるためには、実質的に追加の人員が必要になる場合があります。

業務負担の増加と事務処理の煩雑化

制度利用者への対応には、通常の保育業務に加えて、初回面談の実施・個別記録の作成・利用者ごとのアレルギー情報の把握・保護者とのコミュニケーションなど多岐にわたる追加業務が発生します。codmonコラムの整理によれば、保育者の約7割が「保護者対応の時間や労力が増えた」と回答しています。

記録・請求・連絡という3つの事務作業が在園児とは別の処理フローで発生するため、管理の煩雑さを訴える施設も多くあります。ICTツールの活用や業務フローの標準化が解決策として示されており、こども家庭庁が提供する「こども誰でも通園制度総合支援システム」の活用が推奨されています。ただし、システムへの習熟には一定の時間が必要です。

保育の質と連続性をどう保つか

月に数回・数時間という断続的な利用は、保育者が子ども一人ひとりの発達を継続的に把握することを難しくします。子どもの情報共有が不十分になりやすく、「保育の連続性」の確保が課題として指摘されています。施設側では、記録の引き継ぎや連絡帳の工夫、保護者への丁寧な説明など、個別対応を積み重ねることで質の維持を図る取り組みが進められています。

課題内容対応の方向性
保育者不足人員配置基準を満たせない施設が存在余裕活用型の選択・シフト調整
業務負担増加記録・面談・保護者対応の追加業務ICTツール活用・業務フロー整備
保育の質の維持断続的利用による情報把握の困難引き継ぎ体制・連絡帳の整備
安全管理アレルギー・個別特性の把握入園前情報収集の徹底

ミニQ&A:現場の疑問に答える

Q. 受け入れ施設が近くにない場合はどうすればよいですか?
現時点では、保育士の確保が困難な自治体向けに2027年度までの経過措置が設けられています。居住自治体の担当窓口に問い合わせると、近隣自治体との広域利用協定が結ばれているかどうか確認できます。

Q. 施設側が断ることはできますか?
制度に参加する施設は、申し込みがあれば原則として受け入れる義務があります。ただし、制度への参加自体は施設の任意であるため、参加していない施設での利用はできません。

  • モデル事業参加自治体の81.6%が保育者確保を課題と挙げています。
  • 一般型では保育従事者に占める保育士の割合が50%以上であることが要件です。
  • 追加業務への対応として、ICTシステムの活用が各施設で進められています。
  • 保育の質維持のため、初回面談と記録共有の体制整備が求められています。
  • 2027年度まで施設確保困難な自治体向けの経過措置が設けられています。

まとめ

2026年4月に全国でスタートしたこども誰でも通園制度は、就労の有無を問わずすべての子育て家庭が保育施設を利用できる、これまでにない給付制度です。標準利用料は1時間あたり300円、月上限10時間で、所得に応じた減免制度も用意されています。一方で、月10時間の上限・施設の地域偏在・保育士不足といった課題も現実として存在します。

まず、居住自治体の公式サイトまたは「こども誰でも通園制度総合支援システム(つうえんポータル)」で近隣の実施施設を調べるところから始めるとよいでしょう。施設が見つかったら市区町村窓口で利用認定の申請手続きを確認するのが次のステップです。

制度は始まったばかりです。課題も残りますが、子どもの育ちを社会全体で支えるための仕組みとして、整備が続いています。お子さんのペースに合わせて、無理のない形で活用してみてください。

本記事の内容は執筆時点の公的情報をもとに整理したものです。制度・法令・人事等は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。

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